私が大粒の雨だとしたら、たぶん君は、曇天の中に光を注ぐたったひとつの太陽。
暗い雲を割いて、世界をキラキラと照らす役割を持ってるんだと思う。
まるで天気雨のような──……君と私が交わることは、きっとない。
「藤咲さん」
「…………」
「俺今日授業中に教科書で突き指したんだ。超痛い。ほら見て?」
交わることない私たちが、どうして隣に座りあってるのか……未だに理解できない。
『藤咲さんこと、好きになっちゃった』
あんな言葉は微塵も信じてないから、別にどうでもいいけど。
とりあえず、保健室に行きなよと心の中で思っておこう。
私はこないだの件で、彼と口をきこうとも思わなくなった。