「あ、菜美どこ行ってたのー?」

「うちら今、昨日のドラマの話してたんだけど〜」


菜美に気がつくと、輪になって喋っていた数人がこちらを振り返った。
そのメンバーの中には、小学校で1回同じクラスになったことのある人や顔を知ってるだけで全く喋ったことのない人など、色んな人達がいる。


「ちょっと、冷水機のところ行っててね。そんなことよりも……」


菜美が後ろにいた私を振り返る。
その反応につられるように、数人の目が一斉に私へと向けられた。
その中で知っている顔見知りの人達と目が合う。


「あれ、美由紀?何でここにおるん?」


小学校で1回同じクラスになったことがある、春奈こと高本 春奈(タカモト ハルナ)。


「ラケット持ってどしたん?」


こちらも小学校で同じクラスになったことがある侑佳里こと三嶋 侑佳里(ミシマ ユカリ)。


後の人達はクラスが一緒になったことのない人達で、何事かと言うようにまじまじと私を見つめるだけだった。


知らない人から向けられる視線に、私は思わずたじろぎそうにする。



ーーーけど。



私は拳をギュッと握る。


「あのね…実は私、転部して。今日から卓球部に入ることになったんだ!よろしくね!」


菜美に説明した時と全く同じ内容の話をすると、皆、先ほどの菜美のように目を丸くして驚いた。


「え、まじ?!びっくりなんだけど!」

「こんな時期に部員が増えるとは思わんかったー!」