外は容赦ない日差しが地面を照りつけていた。
ミンミンと鳴く蝉の声。

じっとしていると頭がクラクラしそうだ。


私は1年生が練習しているという、体育館の横まで日差しを避けるようにして移動する。


1年生の部員って何人いるんだろう…
誰に教えてもらおうかな…


そんなことを考えていた時。


「み〜ゆきっ!」


唐突に呼ばれる名前。
その声に反応して振り返ると、知った人物が笑顔で手を振りながら立っていた。


「あ、菜美っ……!」


菜美、は緒方 菜美(オガタ ナミ)。

菜美とは小学校の時に同じクラスになったことがある。特別仲がいいという訳ではなかったが、席が近い時はたわいのない話で盛り上がったりする。そんな仲だ。


青柳中学校は、小学校からほぼ繰り上がりのメンバーで進学する。そのため、小学校の時にクラスが一緒になったことのある人はそこそこ喋ったことのある人ばかりだ。
クラスが一緒にならなかった人も、顔や名前程度ならなんとなく知っている。


ちなみに菜美が卓球部にいるということは、どこからか流れてきた噂で聞いていた。

それでも、実際に知った人に会えたことで、私の心はかなり安堵した。