大きな声でそう挨拶をすると、3人の先輩が勢いよく私を振り返った。
それは、驚きと期待が込められたような目で。
「河原……河原ってもしかして、”げんげん”の妹っ?!」
「……あ、そうですっ……!」
私が頷くと、先輩達からキャーと歓声が上がった。
「やっぱり?!河原って言うから、もしかしたらって思ったんよ!」
”げんげん”とは、河原 元太(カワハラ ゲンタ)。
私の2つ上の兄のニックネームだ。
私と違って社交的な兄は、顔が広く男女共に友達が多い。
”河原”の苗字に反応した3人の先輩は、きっと兄の同級生ーーー3年生の先輩だ。
「2つ下に妹がいるって前にげんげんから聞いてたんだけど、まさか卓球部に入ってくるとは思わんかったー!」
「私、げんげんと仲良くってさー。漫画とかよく貸してもらってるんだ!」
「てか美由紀ちゃん、げんげんに似てないね!ちょー可愛いんですけどっ!」
先輩達から話される、さまざまな兄事情。
予想外の反応に私はついていけず、笑顔を浮かべて相槌を打つことしかできない。
でも、その話のおかげで先輩達と自然に関わることができた。
兄よ、ありがとう!と心の中で兄に感謝する。
2年生の先輩達もそんな3年生の先輩達の様子を見ながら、「河原さん、よろしくねー!」と笑顔で手を振ってくれた。
よかった……先輩達、皆優しそうだ!
3年生の先輩達に兄についての質問をされているところで、全員が着替え終わったようで、1年生男子がぞろぞろと列へと並んでいく。
私は先輩達に会釈をすると、慌てて1年生女子が並ぶ最後尾に腰を下ろした。

