「ありがとう、送ってくれて。」

「うん。…なぁ夢。」

「ん?」

「なんか、あった?」

「…ううん。」

「嘘つけ。泣いたろ?」

「……、課題が、解けなくて、帰れないかと思って、」

「…学年3位以内にいる夢が解けない課題って、どんな問題だよ。」

「ね、ひどいよね。」


バレバレの嘘を突き通すあたしを、困ったような笑顔で見る。


「…なんかあったら、言えよ。
俺か、…今は藤真君もいるんだろ?」

「…うん。」

「悩み事とかさ、後から聞かされるよりその時聞きたいって思うよきっと。彼氏なら。」

「…うん。」


だからそれは、本物の彼女、ならね。


「夢さ、藤真君に、話してないのか?」

「…、うん。」

「…言いにくい、よな。」

「うん。」

「でも、藤真君なら夢を守ってくれるような気がするよ。話してみたら?」

「…うん、そだね。彼氏だもんね。」

「おう。こーんな可愛い夢が彼女なんだし!」


あたしの頭をくしゃくしゃと撫でる大樹先輩は、完全にあたしを子供扱いしてると思う。

けど、ほんとに優しい人だ。