彼の嘘 彼の本音

できる限り速足で歩いて行く。


知ってるから。

あたしが、彼と釣り合わないことくらい。


知ってるから。

彼には美人系の女の人が似合うことくらい。


知ってるから。

彼には、好きな人がいることくらい。



知ってるけど、

それでも好きなんだもん。



『んなわけねーし。』


彼があたしに興味ないことくらい、


「…知ってるし。」


ほつりと呟いて、


遠い遠い彼との距離に、


涙が零れた。