電車で30分程、やって来たのは隣の市の人気の水族館。


速足な彼は、どんどん進んで行く。


あたしは必死に、彼に置いてかれないようについていく。
 

「あ、あの、藤真く、」


呼びかけようとしたあたしの声は、


「紗也!」


藤真君が誰かを呼ぶ声に消える。


「あ、藤真!」


彼を呼ぶ声の方へ向けば、綺麗な細身の女の人が立っていた。


その隣には、


「え?!」


「あれ?夢?」


大樹先輩の姿があった。


…え、どうゆうこと?


戸惑いながら藤真君を見れば、


ぐいっと手を引かれて、


「紹介する。俺の彼女、夢。」

「この子が彼女?
キャーッ可愛い!夢ちゃん、初めまして。
花崎 紗也(はなさき さや)です。高3です。」

「え、夢の彼氏?そうなの?
初めまして、西岡 大樹(にしおか たいき)です。
皆高校生かー。俺は大学1年です。」


彼の紹介で、紗也さんはあたしに、


大樹先輩は彼に挨拶してくれた。



「初めまして。須藤 夢です。
あ、の、…今日は?」

「えー?藤真説明してなかったの?」

「あ、…ああ、わりぃ。」


紗也さんに言われて、藤真君があたしをチラッと見て謝る。


「あ、ううん。大丈夫。」