彼の嘘 彼の本音

彼は時々嘘をつく。


「でも、ほんと辞めて働こうかな。」

「え、なんで?」

「働いて金貯めて、」


心臓がドキリとするような嘘をつく。


「夢を一生閉じ込めて置きたい。」


優しい顔して言うから、本気にしちゃいそうで自分が怖い。

じっと藤真君の顔をみれば、「やっぱ辞めねー。」と一言。


なんだか拗ねたような顔で言うから、可愛くて思わず笑っていると、


「俺、独占欲強いみたいだし。」

「…ん?」

「大学辞めたら夢が心配。」

「ははっ、大丈夫だよ。」


あたしは藤真君しか好きじゃないし。


「今日だって、知らない男と話してるし。」

「…あれはだって、呼び止められて、」

「いつも“玲奈ちゃんと”だし。」

「…学科、一緒だし。」

「…絶対俺より一緒にいる時間長いし。」

「…。」

「一緒に暮らす?」

「えっ!?」

「嘘。」

「…っもうっ!」


いちいち真剣に受け止めちゃうんだからっ!

ちょっと嬉しかったのに。


「…そのうちね。」


小さく漏らした彼の本音を、あたしが知るのはもう少し先の事。




終わりーーー