彼の嘘 彼の本音

「帰ろっか。」

「うん。」


周りの視線を浴びながら、藤真君と手を繋いで帰る。

周りの声を全てシャットダウンして、

彼の言葉だけに耳を集中させる。


「夢。」

「ん?」

「今日、知らないやつと話してなかった?」

「…ああ!うん。なんか、サークルに誘われた。」

「…入るの?」

「ううん。テニスサークルだったから、断った。」

「…他のサークルなら入ってた?」

「うーん。玲奈ちゃんが一緒なら?」

「…。」

「ん?」


黙りこんだ藤真君の顔を覗きこむ。


「…俺、大学辞めようかな。」

「えっ!?」

「辞めて働こうかな。」

「え、なんで?!」

「夢が俺をいじめるから。」

「ええっ?!」


いじめてなんてないよ。ないない!


「嘘。冗談。」

「…っもうっ!」


ははっ、と爽やかに笑う彼。

笑ってんじゃないよっ。