彼の嘘 彼の本音

「…どうかした?」

「え、ううん。あ、飲み物、なんか入れてくるね。」


そう言って、一度藤真君から離れる。

キッチンで、気持ちを持ち直さなきゃ、と思っていると、


「…夢、ちょっといい?」

「ん?」

「ん。」

「…ん、なに?」


お祖父ちゃん達が用意してくれたこのマンションは、

まだ新しく、母子二人で住むには贅沢な広さ。

お母さんと2人なら寂しく見える空間も、

背の高い藤真君が立つとそこを埋めてくれるような気がする。


飲み物を用意していたカウンターキッチンの向かいに立つ藤真君。