彼の嘘 彼の本音

藤真君が言った言葉に、悲しくなった。


だって、言えなかった。

あたしは藤真君に言ってよかったの?

本物じゃないのに、言ってよかったの?


「大樹さんには言うくせに、なんで俺には言わないんだよ。」


その言葉が、

言えなかったあたしの気持ちを吐き出すきっかけになった。


「なんで?なんでって、だって、…言ってよかったの?
言えないよ。だって、藤真君は、紗也さんの為に付き合ってって言ったんでしょ?
あたしと、大樹先輩と接点なくす為に一緒にいたんでしょ?」

「…っ、それは、」

「紗也さんと大樹先輩の為に、ううん、全部、全部紗也さんの為だったんでしょ?
紗也さんが、幸せになる為に。そうでしょ?」

「…夢、」