速くなる鼓動が、藤真君にも伝わりそうで、


「…あの、離し、」
「大丈夫。」


離して欲しいと言いかけたあたしを、更に強く抱きしめて、背中を大きな手でポンポンと叩いてくれる。


「あ、あの、…」

「ごめん。俺のせいだ。」

「…違う。」

「…違わない。俺のせいで、夢に怖い思いをさせた。」

「…違う、よ。藤真君のせいじゃない。」


ぐっと、力を入れて、藤真君の胸を押して離れようとする。


これ以上、好きになりたくない。

優しくされて、勘違いなんてしたくない。


「…なんで?」

「え、?」

「俺のせい、だろ。
なんで俺に言わないんだよ。俺のせいだって、言わないんだよ。」