「夢。」

「あの、えと、…、ごめんなさい、迷惑かけて。
あの、もう大丈夫だから、すぐに出ていくね。ありがとう。」

「夢。」

「あの、お母さん呼んでもらえたら、助か、」


……………え、


ドアの方から少しずつベッドに近づいていた藤真君は、
一気に距離を詰めて、あたしをギュッと抱きしめた。


「…、」

「…。」

「……と、うまくん、」

「……震えてる。」

「…あ、大、丈夫。大丈夫、だから、離して。」

「……嫌だ。」

「え?」

「……ごめん。」

「え、?」

「大樹さんから、聞いた。」


ドクンッ。

大きく心臓がひとつ、跳ねた。