少し前に「初恋なの……」と顔を真っ赤に染めながら告白してくれたけど、俺だって初恋なんだよ。
まさか、こんな風に初恋を体験するとは思わなかったけど。

しかも、凛を好きにならない。自分の立場をわきまえる。って契約書にサインしたんだけどな……。
ま、あの男との契約なんて、正直どうでも良いんだけど。

腕にすっぽりと収まる凛の綺麗な黒髪を丁寧に撫でながら、当時のことを思い出す。

俺と凛の恋の初まりは、ちょっと特殊かな、と思う。
にわかには信じがたいと言うか、何というか。

あれは、2年前の夏だった。