「遊園地の観覧車の中で、俺はどんなときでもずっと凛を思ってるよって言ったよね?

今みたいに学校で友達として接しないといけないときでも、屋敷で執事とお嬢様でも。
俺はいつでも凛を想ってる。

だから、あんな人たちの言うこと、気にしないで?
凛のこと知らないくせに、勝手なこと言ってるだけ。

気にしちゃだめだよ」

凛は俺をじっと見つめた。

「し、翔護って時々すごく大胆だよね?」

「大丈夫、この雨音が強い中、小声で話してるし、誰にも聞こえないよ。

凛、さっき言ったこと、覚えておいて」

「うん、ありがとう……」

恥ずかしそうに頷いて、ぎゅっと傘の柄を握り直し、笑顔を見せてくれた。
凛は笑っていれば良いんだ。

どんよりとした雨の中、一輪の花が咲いたようだった。