「……これから、もし万が一、少しでも凛お嬢様に危害を加える気があるのなら、俺はもう協力しませんよ?

そしてこのことをあの男に報告します。

わかりましたか? 
わ、か、り、ま、し、た、か?」

ひぃっと小さな悲鳴を上げて、目の前のもやし男はこくこく頷いた。

俺も武道家の端くれだ。
相手に気迫をぶつけることくらいたやすい。

「じゃ、俺行きますから」

ふっと力を抜いて、俺は彼に背を向けて歩き出した。

「あ、ああ。
凛ちゃんには、絶対手を出さないから……。
こ、これからもよろしくお願い、します……」

背後から、何故か敬語な元木さんの意思表明が聞こえた。