遺書を書こうと決めてから2週間が経った。
だから、私があと生きられるのも2週間。
もちろん、それよりはやく行ってしまうこともあるだろうし、長く生きられるかもしれない。
そんなの今の自分じゃ全くわかんない。
でも、最近今まで以上に記憶がなくなっていって。
だから、今日遺書を完成させようと決めた。

先生に泣いているところを見られて本音を話せてスッキリしたのか、あれから不思議と涙が出なくなった。

夕方遺書を書いていたらノック音が聞こえた。
少し前に一人部屋に移った。
入ってきたのは先生だった。
急いで遺書を片付ける。
「あ、遺書書いてたの?」
「えへへへ、まぁ」
「順調に書けてる?」
「はい、今日終わる予定です」
あまり無理するなよって、優しく声をかけてくれた。

先生は毎日来てくれて、毎日面白い話をして私を笑わせてくれる。
日に日に好きって想いが大きくなって、でももう会えなくなるっていう不安が押し寄せてくる。
でも、泣きはしないよ。
先生のおかげで強くなれたんだ。
この想いはそっと、大事にしまって、あっちの世に行こう。

先生が帰ってから、私は、お母さんとお父さん、先生、クラスのみんなに遺書を書いて完成させた。
悔いがないといえば嘘になる、でも、少し、少しだけ、安心して遠い、あの世に行ける…。