目を覚ましたら、先生がいた。
そのあとすぐにお医者さんが来て、でもすぐ眠くなってまた眠ってしまった。
気づいたら朝になってて、お母さんがいた。
「ちょっと話があるの」
そういうと、お医者さんが来た。
あ、この人確か昨日の夜、来た気がする。

えっ、私あと1ヶ月しか生きられないの?
「あと1ヶ月と言ってもね、その間に意識が朦朧としたり、話せなくなったりするんだ。」
じゃあ、自分の意思で動いて生活できるのは1ヶ月もないってこと?
嘘でしょ…。
まだやりたいことたくさんあるよ…。
行きたい場所もたくさんある。
もっと…先生と過ごしたかった…。
好きだから。
でもこの恋は叶わないから。
…あ。お手紙書けばいいのかな。
いわゆる遺書ってやつだ。
生きてるうちに告白して気まずくなるなら、居なくなってからの方が断然いい。
まぁ、私に告白する勇気なんてないけど。

夕方、お母さんが帰ろうとしているとき、カーテンが開いた。
私の病病室は4人部屋でそれぞれカーテンで仕切られてる。
先生だった。
「先生、わざわざありがとうございます。」
「いえ、とんでもない」
「いつもありがとうございます。」
ん?いつも?
私が眠って居た間も、来てくれてたのかな?
先生忙しいのに…。

お母さんに帰り際、明日くるときに何か持って来て欲しいものはないかと聞かれた。
私はルーズリーフって答えた。
便箋っていかにもって遺書っていうか、そんな感じがして、少し恥ずかしいから。
そっちの方がいい。
みんなにはずっと笑って居て欲しいから…。
今までたくさん迷惑かけた分。
それに、ルーズリーフなら残り枚数気にせず書けるし!

「お、元気そうじゃん」
「はい、ありがとうございます」
「いやいや、てか、ルーズリーフ頼んで何するんだ?」
えっ。
「んー、遺書?書こうかなーって!」
先生が少しびっくりしたような悲しいような顔をした。
「もう聞いたのか?」
「あと1ヶ月しか生きられないってこと?」
「そうか、聞いたのか。結構切り替え早いな」
早いわけじゃない。
泣くのを必死に堪えてる。
「まぁクヨクヨしてても時間の無駄になっちゃうので。なんせ、残り少ないですから」
どうしてこんなにも笑顔に話せるのかと、自分でも不思議に思った。

「あ、そうだ。クラスの子達がお見舞いに来たいって言ってたけど、呼んでも大丈夫そうか?」
みんな…。
「はい、嬉しいです!」
そのあと、学校でのこととかを聞いて笑って、すごく楽しくて…幸せで。
笑いながら泣きそうになってしまった。