後ろから、バタッと人が倒れた音がした。
同時に痛っ!という声がした。
振り返ると、中野が頭を抱えて唸ってる。
「おい!!!大丈夫か!?」
「あっ、痛い…。うっ…うっ…」
職員室内にいた先生たちも近くに寄ってくる。
近くにいた生徒を遠ざける先生、救急車を呼んでくれる先生、中野の親に連絡を入れてくれた先生、AEDを念のため持って来てくれる先生…。

「救急車到着まで後5分くらいだそうです」
電話をかけてくれた先生が教えてくれた。
その間も、中野は唸り続けてる。
「あと少し我慢できるか?」
そんな俺の問いかけにも答えられないほど、頭がいたいのか…。


救急車になるべく早く乗せられるように、おんぶして校舎外へ。
冬で寒いから、いろんな先生に毛布やら上着やらを用意してもらった、もちろん中野のため。
俺は慌てて薄着できてしまった。
正直寒いが、今はそれどころではない。
背中ではまだ中野が痛そうな声を出してる。
どうしちゃったんだ…。
不安が集っていく。


病院に着くとすぐ手術と言われ、病院に駆けつけた中野の母が慌てながら承諾書にサインをした。
手術は6時間を超える大手術となった。
俺は中野の母と、そして途中できた父と一緒に手術が終わるのを待った。
途中、帰っていいんですよって声をかけられたが、俺は待ち続けた。

俺は密かに中野に恋心を抱いていた。
なかなかいい結果が出せなくて、ケアをしたりしていたら、中野のいろんな表情を見て、気づいたら好きになってた。
だから、不安で手術が終わるまでは帰れないって思った。