遠くに行っても

真っ白な世界が広がっている。
あれからどのくらいだったのか分からないけど、こっちの世界でたくさん友達ができた。
でも、いつからか急に消えてしまった。

はぁ。
1人で暇だ。
どこを見ても白。
何しようかなーってぼーっとしてたら、人影が見えた。
1人のおじさんがこっちに向かって歩いてくる。
「先生?!」
姿や雰囲気は変わったけど、なぜが先生だと分かった。
「おっ、中野、久しぶり」
あ、私は18歳のまま止まってるから、分かるのかな。

先生が左手を振ってこっちにくる。
薬指には指輪があって、結婚したんだって分かると、やっぱり悲しい。

えっ。
先生に抱きしめられてる?
「会えて良かった。嬉しいよ」
先生の声が、耳の近くで…。
先生を近くに感じで、ドキドキした。
まだ私は先生のことが好きなんだって自覚した。
腕が解けてお互い顔を見合わせる。
「俺、あれから結婚したけど、1度も中野のこと忘れたことなかったよ。」
「え?」
「俺、好きだよ」
どういうこと??
無意識に涙が出てくる。
嬉し涙って本当にあるんだ…
「おい、泣くなよー」
「だって…」

「真奈」
えっ、今先生。
下の名前で呼んでくれた?
顔を上げると先生の顔が近づいてくる。
唇が重なった。
これがキス…?
先生が微笑んでくれて、その笑顔が昔と変わらなくて。

「ファーストキス…」
無意識に出てしまった言葉に、先生がくすくす笑い始めた。
「幼稚だって思ってるんですか?!」
「違う違う、初めてじゃないのになーって思っただけ」
どういうこと?
私には先生の言ってることがわかんなくて、笑えて来た。
「まぁ、知らなくていいけど。」
そう言われると知りたくなるのが人間で。
「教えてくださいよ!!!」
「嫌だー」
「先生だけずるい!」
「先生じゃないもん、新だよ」
「私には先生は先生です!」
「やだ、新って呼んでよ」
おじさんになっても、中身は若いのかな。
「いやです!教えてもらえないなら言いません!」


あれからずっとわちゃちゃして、笑って、楽しくて…。
まさかこの世で出会えて、しかも両思いで…。
すっごく幸せ。
いつか先生のことを新って呼べたらいいな。
そう思いながら私からキスをした。