遠くに行っても

1月上旬。
朝のHR開始のチャイムと同時に、毎朝担任の山田 新(やまだ しん)先生は教室に入ってくる。
私は、その先生のクラス生徒の1人、中野 真奈(なかの まな)。

「中野、放課後、職員室に来て」
HRが終わった後、先生に言われた。
私は忘れないうちに手の甲に油性ペンでメモをする。
ここ最近はずっとそう。
なぜなら…

〜3ヶ月前〜
私の通っている学校は、夏休み明けにテストがある。
そのテストが今日返ってきて、結果がすっごく悪かった。
高校3年生は夏休みが勝負!ってよく聞くから、結構勉強したんだけど…。
なぜか、最近物覚えがすごく悪くなったんだよね。
勉強が足りないのかな…。
色々考えながら帰る準備をして下駄箱へ向かう途中、先生に声をかけられた。
「何で帰るんだ?!俺のとこまで来いって言ったの忘れたのか?」
え、先生何言ってるんだろう…。
私呼ばれた覚えなんてない…。
「まぁ、とりあえずいいから来なさい。」
そう言われて、先生の後を追う。

そういえばこの前友達との間でも、こんな事あったな。
めったに怒らない友達が、少しキレ気味だった。
私が約束を忘れたらしい。
約束を交わした覚えはないが、その友達は嘘をつくような子じゃないから、私が約束を忘れたのだと、思った。
でも、いくら思い出しても思い出せない。
今回の先生の件もそう。
そして、少し怒られて。
お互い嫌な気分になる。
だったら私が忘れなければいい話なのだ。


そうして私は、言われたこと、忘れちゃダメなことを、手の甲とか普段自分の見える場所に書くようにした。