葵くんのことは無視して、どんどん進めていく
うーん、なかなか難しいな
どうやって解くんだろう
私が問題と格闘していると
「ねえ、結衣」
珍しく葵くんの方から話しかけてきた
名前を呼ばれたことが嬉しかったのか、心臓が跳ね上がる
あー、いかんいかん、真面目に勉強しなければならんのに
どーしても気になってしまう
「んー、何?」
なるべく顔を見ないように返す
すると葵くんは、私の制服の袖口を少し引っ張ってきた
な、なんか可愛い
とか、トキめいてる場合じゃなくて!
「ど、どうしたの?」
心臓バクバクの中、なるでく平然を装って返す
そんな私とは反対に、葵くんはいつも通りの表情で
「二人っきりなんだからキスくらいしようよ」
なんて言う甘い言葉を呟いた
