「えーちょうだいよ、ご褒美」
それでも葵くんは諦めてくれない
仕方ない
今からでも逃げれば、何とか回避できるかも
と思い
「絶対無理だから!」
と叫んで
ガタッという音を立てて勢いよく椅子から立ち上がり
全速力でドアの方へ走り出した
うおー、何が何でも逃げ切ってやる
どうにか逃げきりたくて
無我夢中で走った
けど、ドアまであと少しで手が届きそうって時に
ガシッと腕を掴まれる
「つーかまえた」
振り返るとそこにはニヤリと笑う悪魔の笑顔があった
少し怒ってるようにも見える
「は、はや!」
さすが葵くん、足も速いんだね
って、ちがーう!
や、やばいよ
捕まっちゃったよ
掴まれた腕は少し痛いくらいガシッと掴まれている
「ちょ、葵くん。は、離して」
頼むけど全然離してくれない
「やーだ」
と、呟いたと思ったら
私の体を思いっきりドアに押し付ける
「...きゃ..っ」
き、距離が近い!
こ、これって壁ドン?
いや、ドアドンか?
って、そんなことはどうでもよくて
やばい、やばい
いよいよ逃げ場が無くなってしまった
ど、どうしよう
「あ、葵くん」
「ん?」
や、やっぱり葵くん怒ってるのかな?
声のトーンが低く聴こえる
こんな葵くん初めて見た
うう、怒らせちゃったかな
ど、どうしよう
「その、お願いだから離して?」
「だめ、離してあげない」
「うぅー」
何が何でも離してくれない葵くん
もうダメだ
こうなったら
大人しく諦めてキスするしか無い
「ね、キスしていい?」
葵くんが甘い声で呟く
「ま、待って。まだ心の準備が...」
キスするにしても心の準備は必要だから、もう少しだけ待ってくれるとありがたいんだけど...
「無理、もう待てない」
へ、ちょ、早いよ、葵くん
葵くんは、私のいうことなんて無視して
「ちょ、もうちょっと待っ.........んっ...」
甘いキスを落とした
