葵くんは、いじわる




「あ、そうだ」



突然葵くんは何かを思いついたように声を上げた




「何?」




葵くんが何かを思いつくなんて、あんまりいい予感がしない





「次の問題解けたらさ、ご褒美ちょーだい」




「はい?」





ご褒美って、何のこと?




「ごめんけど私、お金とかは持ってないよ?」




今月、結構ピンチだし






「そういうご褒美じゃない」



ん?



「じゃ、どういうご褒美なの?」




これ以外ってなんかある?



とか考えてると





葵くんはニヤーっと笑って





「うーん、例えばキスとか?」


と呟く






その一言で、一気に顔が赤くなる




「キ、キス!?」




「うん。とびっきり甘いやつ」




む、無理そんなの



絶対無理





ていうか、キスって




「さっきもしたじゃん」




あの、ほっぺのキス





「あんなんじゃ全然足りない」





た、足りないって



私はあれだけでもうお腹いっぱいなんですけど





「いやでも、ここ学校だし」




「全然問題ない」




いやいや、問題ありありだって!




誰か来たらどうすんのよ