闇を抱える蝶と光輝く龍

「ごめんね、尚。気持ちはすごく嬉しいよ。でも、私は尚に恋の感情はないからそんな状態で付き合うのは尚に悪いし尚とは仲間として一緒にいたい。だから、ごめんね。付き合えない」


少し罪悪感を持ちつつ正直な気持ちを伝えて断ると


尚「…うん。分かってたよ。結衣ちゃんが僕に好意を抱いてないことは」


尚は変わらない笑顔で言った


「…分かってた?」


尚「うん。だって結衣ちゃんの目はいつも違う誰かを追っていたし、その人を見ているとたまに優しい顔になってたからね。そんな顔僕にはしてくれなかったのに」


尚って本当に相手の事よく見てるよね


尚「でも、気持ちを伝えないと後悔すると思ったから伝えたかったんだ。ごめんね。いきなりこんな話をして」


「ううん。こっちこそ気持ちに応えられなくてごめん」


尚「謝らないで。結衣ちゃんはなにも悪くないから」


「でも、色々と助けてもらってたし、気持ちだってちゃんと伝えてくれたのになにも返してないからなんか申し訳なくて」


尚「うーん…じゃあ、一つお願いしていい?」


お願い?


「な、なに?」


尚「一回だけ抱き締めさせて?」


え?


「それだけでいいの?」


尚「うん。実は晴がやっててずるいなって思ってたんだ。ほんとは僕もしたいのに。でも、ほら僕は晴を止めなきゃいけないからできなかったし。ね?いい?」


確かに晴いつもしてたし、類と雪もしてるから別に断る必要ないよね?


「うん。いいよ」


そう答えると尚は私を優しく抱き締めた


尚思ったより温かい


その温かさに少し目を閉じた