いつもはめちゃくちゃ長く感じる授業時間も、今日はあっという間に過ぎていった。

部活の時間が訪れ、刻々と魔の瞬間が近づいてくる。

俺も高梨もバレーボール部に所属している。

高梨は背が160センチもないのに、小さな身体を利用して動きが機敏な上、周りや試合相手を分析する能力に長けていて、女子バレーボール部のエース候補だ。

ちなみに俺も他校との試合に出させてもらってそれなりに活躍しているほうで、現部長いわく、次期部長候補らしい。

プロになりたいとは思わないもののバレーをすることは好きで、楽しい部活の時間なのに、準備運動のサーブ打ちも部活内での試合も今日は身が入らなかった。

1試合終えて次の試合までの間、目の前で繰り広げられている試合を休憩がてら見る。

……っていうか、考えたくもなくて考えてなかったけど、高梨の想い人って誰だ?

まさか、この中にいるんじゃ……。