「新田、次の文読め。」



はぁ。


「はい。」

窓の外を走る人の中に、いる私の好きな人。

走ってる姿なんて、滅多に見ることができないから気分も上がっていたのに。

自分の名前が呼ばれ、仕方なく教科書に目を向ける。

新田 汐愛 アラタ シア

これが私の名前。

この名前は嫌いじゃない。

滅多にいない名前だから。



言われたところを読み終え、窓を見た時にはその姿はどこにもなかった。

「どこいったんだろ…、」


チトセのクラスの人は全員いるのに、なぜかチトセが見当たらない。


そんなことを考えているうちに、授業終了を知らせるチャイムがなって、それぞれがそれぞれの教室に帰っていく。