守りたい人【完】(番外編完)

あまりに強いその眼差しに吸い込まれそうになって言葉を無くす。

すると、朝比奈さんは大きく息を吐いて呆れた顔で首を傾げた。


「そうなんだろ?」

「え?」

「あの日俺に話した言葉は本心なんだろ」


その言葉に、戸惑いながらもコクンと頷く。

あの日、酔った勢いだったとしても、零した言葉は間違いなく本心だった。

いつもなら言えない事も、お酒の力を借りて自分でも驚くほどペラペラと話していた。

ずっと溜め込んでいた心の膿を、勢いに任せて吐き出した。

別にどう思われようが関係ないと思ったから。


でも、なんで、そんな事聞くの?

その事と私が今話している事は、関係ないでしょ?

そんな事を思いながら、探るように朝比奈さんを見つめていると。


「だったら来い」

「え?」

「ついて来い」


そう言うや否や、グイッと私の腕を引いて歩き出した朝比奈さん。

あまりにも突然の事で抵抗できなかった私は、腕を引かれるがまま朝比奈さんに連れられて足を前に出した。