その瞳を見つめ返しながら、意を決して口を開く。
「あ……あの夜は、ごめんなさい」
「――」
「迷惑かけました」
そう言って、頭を下げる。
それでも、朝比奈さんは何も言ってくれない。
その沈黙が辛くて、再び口を開いた。
「私は前にも言った通り、何も覚えてないの。だから、朝比奈さんも忘れてくれたら助かります」
「――」
「あの日は、酔った勢いというか……間が差したというか……とにかく、自分でも訳が分からなくなったというか」
なんとも苦し紛れな言葉に、自分で自分が嫌になる。
こんな事であの朝比奈さんが引き下がるとは到底思えなかった。
だから、えっと~っと呟きながら、ここから逃げ出すのにもってこいの言葉を頭の中で必死に捻り出す。
それでも。
「例え酔った勢いでも」
「え?」
「あの日、お前が俺に言った言葉は本心だろ」
今まで黙っていた朝比奈さんが、突然そう口にした。
その言葉を聞いて、ゆっくりと泳がせていた視線を前に向けると、黒目がちな瞳で真っ直ぐに私を見つめる精悍な顔がそこにあった。
「あ……あの夜は、ごめんなさい」
「――」
「迷惑かけました」
そう言って、頭を下げる。
それでも、朝比奈さんは何も言ってくれない。
その沈黙が辛くて、再び口を開いた。
「私は前にも言った通り、何も覚えてないの。だから、朝比奈さんも忘れてくれたら助かります」
「――」
「あの日は、酔った勢いというか……間が差したというか……とにかく、自分でも訳が分からなくなったというか」
なんとも苦し紛れな言葉に、自分で自分が嫌になる。
こんな事であの朝比奈さんが引き下がるとは到底思えなかった。
だから、えっと~っと呟きながら、ここから逃げ出すのにもってこいの言葉を頭の中で必死に捻り出す。
それでも。
「例え酔った勢いでも」
「え?」
「あの日、お前が俺に言った言葉は本心だろ」
今まで黙っていた朝比奈さんが、突然そう口にした。
その言葉を聞いて、ゆっくりと泳がせていた視線を前に向けると、黒目がちな瞳で真っ直ぐに私を見つめる精悍な顔がそこにあった。



