守りたい人【完】(番外編完)



「私、この先どうしたらいいんだろう。それに――……」


しんみりとそう言った瞬間、不意に朝比奈さんの顔が浮かんで言葉を切る。

それと同時に、あの衝撃的な朝の光景がフラッシュバックする。

耐えきれなくなって思わず顔を覆って俯いた私に、真剣な顔をしていたたまちゃんが、弾けるように私の顔を覗き込んできた。


「え、何、何、何?」

「あ~も~、一生の不覚!」

「何、教えてよ、志穂ちゃん!」


一気に羞恥心が襲い掛かってきて、ブンブンと頭を振る。

壊れたような私の姿を見て、たまちゃんのテンションが右肩上がりになる。

教えて! と私の腕を揺さぶって、興奮状態だ。

そんなたまちゃんを横目に、ポツリと呟く。


「――…軽蔑、しない?」

「何年の付き合いだと思ってるのよ~」


両手で顔を覆った指の隙間から視線を向けた私に、ケラケラとたまちゃんが笑う。

どこか『田舎のお母ちゃん』みたいな貫禄に、オズオズと言葉を紡いだ。


「――…実は」