「誰といるか、か」


受け取ったビールを握りしめて、そう呟く。

だけど、その通りだと思った。

どこに行っても、私の生活の基盤は変わらないだろうし日常は変わらずやってくる。

それは、東京にいても田舎にいても、例え海外にいても一緒な事。

だけど、側にいてくれる人が違えば、その単純な世界も変わってくる。

何ともない日々が、一気に変わってくる。

私はその力を知っている。


「いるのかな、そんな人」

「――」

「私の世界を変えくれる人なんて」


私の世界が変わるほどの人と出会う事なんてできるのかな。

そんな人、いるのかな。


「さぁ、どうだろうな」


私の独り言ともとれる問いかけに返ってきたのは、酷く素っ気無い言葉。

相変わらず不愛想だなと思いつつも、ふっと口元を緩めて再びビールに口をつける。