「酒、付き合ってほしいんだろ」

「あ、えっと、うん……」

「ただ、冷えてないビールとかありえないだろ」


文句を言いつつも、席を立たずにビールを飲み続ける朝比奈さん。

そして、お風呂上がりだからか、あっという間に一缶開けて、テーブルに置いてあったビールに手を伸ばした。

その姿を見て、少しだけ嬉しくなる。


「飲みましょ、飲みましょ~。ってか、こんな夜中までどこにいたんですか」

「どこだっていいだろ」

「そりゃそうですけど、こんなド田舎に時間潰す場所なんてないでしょ~」


ケラケラと笑ってそう言う私を横目に、朝比奈さんは鼻で笑ってきんぴらを口に運ぶ。

まだ4月に入ったばかりで夜は冷えるのに、半袖だ。

だけど、Tシャツから覗く腕は逞しく、鍛えているのだとすぐに分かった。


「朝比奈さんって、何してる人なんですか~?」

「なんで」

「だって、凄い筋肉だから~。うひゃひゃ、触っちゃお」