声を無くした私に、同期が慌てて何か言っていた。
それでも、私には一切その声が届かない。
グルグルと世界が回って、何もかも真っ黒に染め上げる。
もう、何も見えない―――……。
「何してんの」
突然聞こえた声に、ゆっくりと視線を上げる。
すると、どこか醒めた目で私を見下ろす一人の男性の姿が見えた。
相も変わらず不機嫌そうなその姿に、ふぅっと溜息を吐く。
「何って、飲んでるの」
「飲みすぎだっつーの」
「何よ、別にいいでしょ」
食堂のテーブルの上に転がる数本のビールを見て、朝比奈さんが呆れたように溜息を吐いた。
お風呂あがりなのか、短く切られた黒髪が濡れている。
どこか色気さえも感じるその姿を、じっと見つめる。



