あんなに仕事人間だったのに、今では田舎の実家で下宿屋してるなんて誰も想像しないだろうな。

そんな事を思いながらも、どうしてもあの人の事を思い出してしまう。

忘れようと決めたはずなのに、3年の月日はそう簡単には消えてくれない。


「……ねぇ」

『ん~?』

「あの人、どうしてる?」


ポツリとそう呟いた私の言葉に、同期の言葉が止まる。

『あの人』とは、もちろん元カレの事で、会社の同期だから私達の関係も、どうして別れたのかも知っている。

聞くつもりなんてなかったけど、どうしても気になった。


だけど、その質問をした瞬間、同期が声を詰まらせた。

どこか言い辛そうな雰囲気を察して、嫌な予感がする。

そして。


『実はさ……』

「うん」

『付き合いだしたの、あの二人。それで、夏には結婚するって……』


その言葉に、鈍器で殴られたような衝撃を受ける。

ひゅっと高い所から心臓を落とされたような、そんな気持ちになる。


付き合い、だした――?

結婚、する――?