「も、もしもし」

『あ、志穂？　久しぶり！　今何してる？』


テンションの低い私とは正反対に、楽しそうに声を出したのは前の会社の同期。

どこかで飲んでいるのか、ザワザワと騒がしい声が後ろから聞こえた。


「えっと……家で飲んでる」

『え～じゃぁ、こっち来なよ！　今さ、同期で飲んでるの！』

「いや、私今東京じゃないんだよね」

『え？　そうなの？　旅行中？』

「ううん。実家に帰ってきてて」


楽しそうな声が携帯越しに聞こえてきて、更に寂しさが襲う。

私だけ、みんなから取り残されたような疎外感を感じて、泣きそうになった。


『そうなんだ～残念。また今度飲もうよ。ってか、元気してる～？　全然連絡くれないからさ～』

「ごめん」


つい最近までは一緒に働いていたのに、もうどこか遠い人のように感じる。

住む世界が違う人のように感じる。