守りたい人【完】(番外編完)

「かんぱ~い」


誰もいない食堂の椅子に座り込んで、そう呟く。

いつもは誰かと一緒にガヤガヤした居酒屋で飲んでいるか、窓の外に見える夜景を見ながら飲んでいたのに、見えるのはラップのかかった食事だけ。

テレビの音も、車の通る音も、誰かの話す声も、物音すら聞こえない。

大げさかもしれないけど、世界に自分1人だけになった気分だった。


「寂し……」


誰もいない部屋で缶ビールを飲んでいる自分、相当惨めだ。

リフレッシュする為に帰ってきたはずなのに、なんだか更に惨めになっている気がする。

はぁと深く溜息を吐きながら、さっさと寝ようと思った、その時――。


Trrrr―――…。


静かな部屋に突然鳴り響いた着信音。

あまりに大きな音に驚いて、その場で飛び上がりながら電話を取った。