「なんなのよ、あの態度」
私が何か話しかけても、返ってくる言葉は『あぁ』のみ。
ご飯を作って、お口に合いますか? と聞いても『普通』のみ。
少しでも仲良くなろうと会話を振ったのに、それに限っては無視。
ここまでくるとケンカを売られている気分になる。
「でもさ、珍しいよね、志穂ちゃんがそこまで感情的になるなんて」
ブチブチと手元にあった雑草を抜いていると、たまちゃんがそう言って私の顔を覗き込んできた。
真っ白な肌に笑窪を浮かべて、にっこりと笑っている。
「感情的?」
「だって、昔から志穂ちゃんって物分かりが良くて妙に落ち着いてたじゃない?」
「そう、かな?」
「誰かにそんな風に怒鳴ったり、愚痴ったりするのって珍しい気がする」
「まぁ、確かに、そうかもしれない……。でもさ、あれは誰でも腹立つでしょ!」
「そうだね」
そう言って、ケラケラと笑うたまちゃん。
プリプリと怒る私を見て楽しんでいるようにも思えた。
そんな姿を横目に、空に向かって大きく息を吐く。



