守りたい人【完】(番外編完)


思い出に浸っていた心を現実へと引き戻す。

いつの間にか閉じていた瞼を持ち上げれば、遠くの方には変わらず楽しそうに話す3人がいた。


その中心にいる志穂ちゃん。

あの頃より、更に綺麗になって垢抜けた表情。

だけど、フワフワの髪と透き通るような真っ白な肌は変わらない。


どこか懐かしさを覚えながら、志穂ちゃんの姿をじっと見つめる。

すると。


「たまちゃん! 来てたの!」


不意に名前を呼ばれて、僅かに肩が上がる。

すると、私の存在に気づいた志穂ちゃんが嬉しそうに手を振った。

大きな瞳が垂れて、私の大好きな顔になる。


「何してるの、こっち来なよ!」


そして、あの頃と変わらずニコニコと笑って私を呼び寄せた。

その笑顔に導かれるように、重たかった足を前に出す。