「じゃぁ、みんなで水撒き終わったら、お昼にしましょうか」

「お、志穂ちゃん作ってくれるんか」

「たまちゃん家から食パン貰ったんで、ホットサンドにでもしましょうか」

「俺、ハムチーズ」

「ちょ~、朝比奈さん、ホットサンドといえば卵でしょ」

「ハムチーズだろ」

「え~ツナですよ~」


沢山の花々と緑に囲まれた庭に、俺達3人の話し声が響く。

他愛ない会話が花開いて、辺りを明るく照らす。


俺の隣にあるのは、太陽の光に負けへんくらい輝く志穂ちゃんの笑顔。

ずっと見たいと思っていた、笑顔がそこにある。

俺がその笑顔を作ってあげたかったけど、それはもう俺にはどうする事もできない。


今思えば、一目惚れだったのかもしれない。

まさか、自分がこんなにも誰かを好きになるとは思わへんかった。

せやけど、そんな自分を実は気に入ってる。


「さ、ご飯にしましょ」

「「腹減った~」」


まだ、俺の方に振り向いてくれへん。

その視線の先におるのは、俺やない。

そやけど。


「鍛冶君、早く早く!」


しばらくは、このままでもええか。


「ほな、たまごサンド作ろかぁ~」


その笑顔が、見れるんやったら―――。