俺が来た時、既にこの朝比奈さんはここにいた。
第一印象は、寡黙で真面目そう。
それは間違ってはいなかったけど、その心の内には何か熱いものを感じた。
分かりにくいけど、誰よりも優しくて、よく周りを見てる人やと思う。
確信はないけど、志穂ちゃんの笑顔を取り戻したのは、朝比奈さんやないかと思てる。
志穂ちゃんの顔を見てれば分かる。
きっと、志穂ちゃんは朝比奈さんに惹かれてる。
自分では気づいていないのかもしれへんけど。
そう思った瞬間、悔しさが襲う。
言いようのない、嫉妬が渦巻く。
それでも、志穂ちゃんは朝比奈さんが一緒にここにいる事を嬉しく思っているのは明らかだ。
嬉しそうに微笑む顔を見て、心の中で大きく溜息を吐いた。
「ほな、朝比奈さんも水撒き手伝ってなぁ」
「俺が?」
「自分の口に入るもんやろ、道楽したらアカンで~」
いつもの調子でケラケラと笑って、そう言う。
そして、持っていたホースを朝比奈さんに手渡した。



