直ぐに必要最低限の荷物の準備をして、HPから『姫野荘』に電話した。
えらい、のほほんとした声の女の人が出て、二つ返事でOKやった。
段取りは整った。
正直、ここまでする自分に驚いた。
せやけど、会いたいと思う気持ちが大きすぎて、止められへんかった。
どうしても、もう一度会いたかった。
あの子に会いたかった。
「どんな子なんやろな」
無意識に零れる笑みのまま、小さくそう呟く。
まるで子供みたいにワクワクしてる自分がいる。
――そして数日後、俺は電車の中にいた。
準備した荷物を持って、あの場所へ向かう。
どこまでも広がる田園風景と、連なる山々の町へ。
あの子がいる、あの町へ―――。



