守りたい人【完】(番外編完)

「ずるい人」


クスッと笑ってそう言った私に、朝比奈さんが訝し気に首を傾げた。

その姿に、何でもないと言って顔を横に振る。


もう、そんな事どうだっていい。

だって、同じ気持ちになれたんだから。


流れる涙をグイッと拭って笑顔を作る。

そんな私を見て、朝比奈さんもつられるようにして笑った。


いつも周りの事ばかり考えて、自分の事は後回しのこの人。

だから、これからは私がこの人を一番に考えていこう。

きっと、この人は私の事を一番に考えてくれるから。


そうやって、2人支え合って生きていこう。

不器用で、意地っ張りな所は私達同じだから。


「朝比奈さん」

「ん?」

「帰ろっか」


あの家に帰ろう。

愛おしいものが詰まった、あの家に。


そう言った私を見て、朝比奈さんは小さく微笑みながら頷いた――。