守りたい人【完】（番外編完）

自分の弱い部分を誰かに知られるのが嫌だった。

だから、泣き顔なんて誰にも見せられなかった。


しっかりしてなきゃって、いつも自分に言い聞かせていた。

誰の手も借りずに、１人で生きていけるって本気で信じていた。

だからこそ、こんなにも本当の自分を誰かに曝け出したのは初めてだった。


弱音を初めて吐いた。

我儘を始めて言った。

泣き顔を初めて見せた。


だけど、この人にならいいと思った。

ううん。

知ってほしいと思った。

それに、きっとこの人は取り繕った人間に興味を持たないと知っているから。

だから全力でぶつかった。

恥も見栄も捨てて全力で気持ちをぶつけた。


怖かった。

とてつもなく怖かった。


受け入れてもらえなかった時、自分を否定されたようで悲しかった。

どうすればいいか分からなかった。


何度も何度も諦めようと思った。

だけど、その度にこの人は私を振り向かせるんだ。

もっと好きにさせるんだ。