守りたい人【完】(番外編完)


「好きだ」


飾らない朝比奈さんらしい、真っ直ぐな言葉が降ってくる。

そして、その言葉と一緒に優しく唇を塞がれた。

目を閉じる事も忘れて、目の前にある朝比奈さんの顔を見つめる。

伏せられた長い睫毛が、そのうちゆっくりと持ち上がって、再び私をじっと見つめた。


「あと、何回告白すれば信じてくれるわけ?」


悪戯っ子のようにそう言った朝比奈さんの言葉を聞いた瞬間、勢いよくその胸に飛びこむ。

一瞬、勢いに押された朝比奈さんだったけど、ギュッとそのまま私を抱き留めてくれた。

包み込まれる温かさの中で、流れる涙も厭わずにギュッと抱きしめ返した。


なんだか、もう、これが現実ではないのかと思ってしまう程、胸がいっぱいになった。

受け取ってもらえた好きが、私の中に泉のように湧き上がって溢れる。


嬉しくて、幸せで、涙が止まらなかった。