「返事、遅れて悪かった」
とうとう泣きだした私を見て、優しくそう言った朝比奈さん。
そして、顔を隠す事も忘れてボロボロ泣く私を、仕方ないなって顔で微笑んでから、ゆっくりと抱きしめた。
途端に香る、朝比奈さんの香り。
広い胸の中にスッポリと体を包み込まれて、抱き締められる。
オズオズと両手を朝比奈さんの背中に回して抱きしめ返すと、抱きしめる強さが増して、自然と顔が上向きになった。
「本当……に?」
そんな中、もう一度確かめるようにそう呟く。
すると、僅かに笑った朝比奈さんが私の後頭部を優しく撫でた。
「あぁ」
「本当に、朝比奈さんも私の事好きなんですか?」
「一体何回告白させるつもり?」
「だって、なんか、信じられなくて」
笑う度に僅かに上下する逞しい体。
それでも、ゆっくりと私の体を離すと、片方の口端を持ち上げた朝比奈さんが私の涙で濡れた顔を覗き込んできた。
そして。



