「あいつは今頃泣いてないだろうか、とか。今頃きっと心配しているのだろう、とか。もう考えだしたら止まらなかった」
「――」
「お前は、強いように見えて弱いから」
その言葉を聞いた瞬間、あぁ、と思う。
やっぱりこの人は、私の事を全部分かっているのだと思って。
私の強がりや意地っ張りなんて、この人の前では意味をなさないんだと思って。
だけど、そう思ったと同時に嬉しかった。
本当の私を、この人は見てくれていたんだと分かって。
ただただ、嬉しかった。
今にも泣きだしそうになった私の頭にポンッと大きな手が乗る。
暖かな重みが、私の頭を包む。
そして、唇を僅かに震わせる私を見て、朝比奈さんは柔らかく微笑んだ。
「そう思ったら、会いたくなった」
「――っ」
「ただ無性に、おまえに会いたくなった」



