「怪我はっ!? 大丈夫なんですか!?」

「見た通りだけど」

「見た通りっ!?」

「軽い捻挫とかすり傷。崖から落ちたから、一応CT撮ったくらい」

「崖から落ちたっ!?」

「別に崖から落ちるくらい大したことじゃない」


卒倒しそうな私とは違って、ケロっとした顔でそう言った朝比奈さん。

隣にいた鍛冶君も呆れたようにケラケラと笑った。

その場違いな笑い声を聞いて、勢いよく顔を鍛冶君に向ける。


「さすが、元第一空挺団。屈強やわ」

「心配かけたな」

「まぁ、あんたが早々死ぬとは思ってへんかったけど、病院に運ばれたって聞いた時はさすがにビビったで」


ケラケラ笑う鍛冶君を見て、悪かったな、と呟いた朝比奈さん。

小さなかすり傷が顔や手についている。

それでも、当の本人は何でもないといった風に口端を上げて笑みを浮かべた。