「だから、心配いりませんっ。朝比奈曹長は必ず戻ってきます。信じて下さい」
その真っ直ぐな言葉に、その真っ直ぐな瞳に、胸がいっぱいになった。
何か言葉を返さなければと思うのに、声が喉に張り付いて出てこない。
すると。
「あんたは、朝比奈さんの元部下や言うてたな」
ポツリと呟いたのは、今まで何も言わずに花井さんの言葉に耳を傾けていた鍛冶君だった。
隣に視線を向けると、真剣な面持ちで花井さんを見つめる鍛冶くんの横顔があった。
「はい。……一番お世話になった方です」
「だったら、知ってるんやろ? どうして、そこまで優秀な朝比奈さんが部隊を去る事になったのか」
鍛冶君のその言葉に目を見開く。
まさか、そんな事を言うとは思っていなかったから。
この目の前にいる人が、朝比奈さんが立場を捨ててまで守った『部下』だと鍛冶君は知っているのだろうか。
この人が、暴力事件を起こした本人だと。



