守りたい人【完】(番外編完)

「かっこいいね」


何も言わずに下を向いた私に、たまちゃんが笑ってもう一度そう言った。

なんだか途端に恥ずかしくなってきて、逃げるように視線を他の場所に向ける。


そして、目が止まったのは体育館の真ん中。

近所の人達が輪になって、何やら楽しそうに話している。

その輪の中心にいるのは、鍛冶君。

いつものように楽しそうに声を上げて、みんなと笑っている。


「鍛冶君も、凄いよね」


思わずつられて笑ってそう言った私の顔を、たまちゃんも同じように笑顔で振り返る。


「あんなに不安そうにしてた近所の人達が、笑顔になってる」

「鍛冶君、近所の人気者だから」


そう言って、ふふっと嬉しそうに笑った、たまちゃんは真っ白な頬をピンク色に染める。

その姿が可愛くて、無意識に頬が上がった。