「あっちで自衛隊の人達と話してるみたい」
「自衛隊の人達と?」
そう言って、私の指さした方を見た、たまちゃんは瞬きを繰り返す。
視線の先には、町内の消防団員の人と自衛官の人達が何やら真剣な顔で話している。
その中には、朝比奈さんの姿。
どこか難しそうな顔をして、腕を組んでいる。
その姿を見つめたままポツリと呟く。
「前いた部隊の人達みたい」
「えっ」
「さっき、親し気に話してるの見たの」
私の言葉を聞いて、たまちゃんの目が見開かれる。
そして、壁に体を預けて座っていた私の隣に同じように腰かけて小さな声で話してきた。
「という事は、暴力事件の例の部下も……?」
「……うん。さっき話してるの見た」
「――」
「どんな気持ちなんだろ、朝比奈さん」
あの時見た朝比奈さんの表情が頭から離れない。
懐かしむような、悲しむような、それでもどこか嬉しそうな、そんな表情。
一気に私達の元から心が離れてしまったようなその姿に、どことなく寂しさを感じる。



